2017年鐘3月号巻頭言
40という数字
主任司祭 ミカエル 山浦 義春
四旬節とは復活祭の46日前の水曜日から復活祭の前日の期間を指し、カトリック教会ではキリスト者は特にイエス・キリストの歩まれた道を心に留め、父なる神様から愛されていることを感じ、改めて神様へ立ち返る回心と償いのうちに過ごします。回心と償いのあらわれとして、周りの人のためへの祈り、施し、奉仕、断食を行います。また四旬節は洗礼志願者の入信の準備の期間にあたるため、洗礼志願者のために祈ると共に、すでに洗礼を受けた者は自らの洗礼を思い起こし、イエス・キリストを通して父なる神様との、そして教会とのつながりを意識する期間でもあります。先程、四旬節は復活祭前の46日から始まると言いましたが、この期間中に含まれる6回の日曜日(主日)を除くとちょうど40日になります。40という数字はカトリック教会において特別な意味が込められています。聖書をひも解くとノアの方舟のにおける40日40夜の大雨、出エジプトにおける40年間の荒れ野での生活、ヨナによるニネベの人々への回心を求める40日、イエス・キリストの40日の荒れ野での断食と、聖書では40という数字は、神様とのつながりを求め、これまでの自分を見つめ直し、誘惑との葛藤の後に神様のもとに立ち返る「回心」という言葉に凝縮されると思われます。四旬節は文字通り四・十日・行事のことですが、それは聖書のこのような意図を伝えているのです。このように復活祭前の準備期間が40日となったのは7世紀頃からと考えられています。カトリック教会では40という数字以外に、弟子、新しいイスラエル王国(部族)をあらわす12や6、7なども特別な数字です。灰の水曜日からはじまる四旬節に、私たち一人一人がイエス・キリストが伝えてくださった父なる神様の愛を深く感じ、神様に近づくための回心、つながるための祈りや奉仕を行うことが出来ますように。